こんにちは ritです。
今回はNiconico Live Encoderに代わる新しい配信ソフトがniconico公式から公開されたので、早速どんなもんか試してみました。なかなかいい感じだったので、簡単な使い方をご紹介します。
基本設定
ここでは簡単により高画質に放送するための方法をご紹介しますので、最低限これだけすればなんとかなるだろうということに留めておきます。難しい機能についてはもう少し調査が進んでから記事にするか考えたいと思います。
本体のダウンロード
こちらの公式ページからダウンロードできます。インストーラがダウンロードされるので、ダウンロードしたものを実行してインストールすることで使用できるようになります。
niconicoで配信したい場合は、起動後にログインを求められるので、niconicoのアカウントのメールアドレスとパスワードを入力してログインしてください。逆にniconico以外の配信サイトへ配信したい場合はログインしないでください。ちなみにログイン状態はメイン画面の右上からいつでも切替可能です。(ログインの度にログイン情報を入力し直す手間はかかりますが)
配信ソース(映像)の準備
次にN Airで配信したい画面と音声を設定します。まずは中央下のソースの部分にあるアイコンを押して、映像の準備をします。
追加したいソースの一覧から必要なものを選択します。よく使うものは画像ファイル・Webページ・テキスト・ウィンドウキャプチャ・PCゲームキャプチャ辺りでしょうか。
この時にディスプレイキャプチャを選択してしまうと、PCに表示されている画面全体が表示されてしまうので注意が必要です。放送中に画面を追加しようとして、従来の画面キャプチャと勘違いして選択を確定すると、放送に配信中のPCの画面がさらされる事になります。
これを回避するためには、放送中の画面編集はスタジオモードを使用するのが良いと思います。
ちなみにNLE等の従来の画面キャプチャのように範囲指定して表示させたいという場合は、ウィンドウキャプチャから表示させたいウィンドウを指定した後に、N Airの画面上でAltキーを押しながらソースの赤い枠線を動かすことで、クリッピングすることができます。
※追記:ディスプレイキャプチャを選択し、外側の赤枠をAltキーを押しながら移動させることで、従来の画面キャプチャと全く同じように動作させられます。ただし、最初に全画面が表示されてしまうので、必ず事前に設定しておくか、スタジオモードでやりましょう。
スタジオモード
メニューの一番左のスタジオモードをクリックすると、スタジオモードの画面が表示されます。これは左側で配信ソースの追加編集を行い、中央の反映するボタンを押すと配信画面に反映されるというモードで、反映するボタンを押すまでは編集している画面は配信されないので、配信される画面が正しいか確認してから配信することが可能になります。特に慣れないうちは、配信中はこちらのモードにしておくと何かと安全です。
音声の準備
初期状態ではPC音+マイク音の両方が出力されるようになっているので、配信用機材のステレオミキサー機能などを使って自分で音声を合成して配信しているという場合は注意が必要です。
メニューの設定を選び、音声のページを開きます。
デスクトップ音声デバイスは、NLEにおけるスピーカーキャプチャと同等の機能です。ステレオミキサー機能を自前で用意する場合は無効化しておきましょう。逆にPCにマイクしかつないでいないような場合は、音が流れるデバイスを設定しておきましょう。
マイクは初期状態ではPCに内蔵されているものやWebカメラについているものなど、意図していないものが設定されてしまっている可能性もあるので、必ず使用したいマイクが設定されているかどうか確認しておきましょう。
配信サイト側の準備
niconicoで配信する場合は、N Air側でログイン完了できていればniconico側では普段どおり配信枠を取るだけで大丈夫です。ただし高画質配信する場合は、枠を取る際に必ず720p配信を行うの項目をチェックする必要があります。ここが間違っていると、このあと紹介する設定では配信できなくなりますのでご注意ください。面倒ですが、毎回必ず手動でチェックを入れる必要があります。
niconico以外のサイトで配信したい場合は、それぞれの配信サイトのサーバーURLとストリームキーを確認してN Air側に入力する必要があります。これらは大体どのサイトでも配信ページに記載されていると思います。例えばYouTubeであれば、ページ下のエンコーダの設定の部分にあります。
これらをコピーして、それぞれN Air側に貼り付けます。N Airのメニューから設定を選び、配信の項目の中に貼り付ける場所があります。この項目はN Airでniconicoにログインしている場合は表示されないことに注意してください。
配信ビットレートを調整する
配信ビットレートを配信サイト側が対応しているビットレート上限以下になるように調整をします。調整はメニューの設定の中の出力のページを開いて行います。例としてniconicoでHD配信する場合は、上限ビットレートは6000kbpsなので、映像ビットレートを5808kbps、音声ビットレートを192kbpsにすると上限で配信できます。もちろん音声ビットレートをもう少し下げれば、その分映像ビットレートを上げることも出来ます。合計値が6000以内になっていれば問題ありません。
niconicoの場合、配信枠確保の際にHD配信するのチェックを入れていない場合は、上限ビットレートが2000kbpsに制限されてしまうので注意が必要です。
あとは、メイン画面右下にある配信開始ボタンを押して配信開始し、配信ページで生放送の開始を行うだけで通常通り生放送をすることが出来ます。
高ビットレートで配信する際の注意
高いビットレートで配信することは、当然低いビットレートで放送するのに比べてインターネット回線に大きな負担がかかります。ここで問題になるのはプロバイダ側での通信制限の発生です。
一般的なプロバイダの家庭用接続プランでは、1日のデータ送信量が30GB程度になるのを境にして制限をかけるというものが多いです。当然混雑する日や時間はその限りではなく、30GBに達していなくても通信制限がかかる場合があります。中には有名なプロバイダであっても、1日10GB程度で制限をかけるというものも存在しますので注意が必要です。こうなってしまうと配信はおろか、通常通りにインターネットを使用することすらままならなくなってしまう可能性もあります。
では、具体的にどれくらいの容量が使用されるのか計算してみました。
配信時間辺りのデータ送信量目安
ここでは1バイト=8ビット、接頭語がK→M→Gと変化するごとに1000倍とします。
6000kbps=750KB/s→2.7GB/h
常に6000kbpsで配信した場合、1時間で大体2.7GBほど消費します。もちろん容量すべてを配信に使うとは考えにくいので、大体1日10時間ほど配信すると危険水域に達します。
1日10時間配信することはなかなか考えにくいと思いますが、休みの日などでうっかり達することも全くないとは言いにくいと思いますので、長時間配信する際は頭に入れておく必要はあります。
ちなみに週に3~4日くらいこのラインを超えてしまうことが続くと、プロバイダから契約変更を要求される場合もあるようなので注意してください。
最後に使ってみての感想
OBSベースに開発されていることもあって、NLEと比較しても圧倒的に軽く、かつ高画質で配信することが出来るので、今までNLEを使用していた人に乗り換えることを十分おすすめできると思います。操作感がだいぶ違うので、慣れるまで難しいかもしれませんが、基本的にはNLEで出来たことは全部できるのではないかと思います。スタジオ機能も便利です。
ただ一つ問題点として、最近はニコニコと別サイトへの同時配信ということも流行っていますが、N Airには同時配信の機能がありません。同時配信がしたいという方は、基本的にはN Airとは別のソフトを用意するしかないので注意が必要です。今後の更新で追加されたり、オープンソース化されていることもあって、有志が亜種を作成する可能性もありますが、現状は一般的な使い方では不可能であることは知っておく必要があります。
私は今のところは同時配信の予定はないので、今後はN Airを使っていこうかなと思っています。